|
スタッフが週替わりでお届けする「編集後記」。 今週はベトナム人スタッフのMaruchanが長年親しんできたホーチミン市の「タンディン市場(Chợ Tân Định)」のお話です。

タンディン市場は、ホーチミン市旧1区と旧3区の堺にある歴史ある市場で、フランス植民地時代の1926年に建設され、1927年に開業しました。約100年の歴史を持ち、市内でも特に有名な市場の一つです。観光客にはベンタイン市場の方が知られているかもしれませんが、地元の人々の暮らしに密着した市場としては、タンディン市場も非常に魅力的な存在です。
私は1990年代の初め頃からこの地域に住んでおり、気が付けばもう40年近くになります。そのため、タンディン市場の変化をずっと見守ってきました。正直に言うと、以前のタンディン市場はかなり古びた印象でした。もちろん歴史ある建物ならではの味わいはありましたが、外壁の色あせや施設の老朽化も目立ち、初めて訪れる人にとっては「古い市場」という印象が強かったかもしれません。
しかし、この1年ほどで市場の雰囲気は大きく変わりました。市場の正面にはライトアップが施され、さらに色鮮やかな壁画が描かれています。壁画には市場の歴史や昔のサイゴンの暮らし、商人たちの日常風景などが表現されており、以前とはまったく違う印象になりました。おそらく観光客を呼び込む目的もあるのでしょうが、その効果は大きいと感じています。


以前は少し暗く見えていた市場の外観が明るくなり、写真映えするスポットへと生まれ変わりました。実際に市場の前では記念撮影をする人の姿も増えています。それでも昔ながらの市場らしい雰囲気は残されており、新しさと懐かしさがうまく共存しているところが魅力だと思います。
タンディン市場は大きく分けると2つのエリアがあります。1つは市場の中心となる屋内の市場棟です。ここには乾物や衣料品、布地、履物、日用品などさまざまな商品が並びます。もう1つは市場棟の裏側に広がる屋外市場で、主に生鮮食品や果物などを取り扱います。こちらは地元の人々の日常がより色濃く感じられる場所で、朝から多くの買い物客でにぎわいます。歩いているだけでも活気が伝わってきて、ホーチミン市の庶民的な暮らしを体感できます。
そして、Maruchanが最も好きなのは市場の隣を走るグエンフウカウ(Nguyễn Hữu Cầu)通りです。なぜなら、ここはまさに「食の楽園」だからです。

通りには数え切れないほどの屋台が並び、お粥、カニスープ(súp cua、カニの身やうずらの卵、キノコなどを入れてとろみをつけたスープ)、フーティウ(hủ tiếu)・ブン(bún)・ミー(mỳ)・フォー(phở)の各種麺類、コムスオン(cơm sườn、炭火で香ばしく焼いた豚スペアリブをご飯にのせて食べるローカルフード)、チェー(ベトナム風ぜんざい)、スオンサー(sương sa)・スオンサム(sương sâm)・スオンサオ(sương sáo)(ベトナム風ゼリー)など、ありとあらゆる食べ物が集まっています。
朝食でも昼食でもおやつでも、食べたいものが見つからないことはありません。温かい麺料理を食べたい日もあれば、甘いデザートを楽しみたい日もあります。そんな時でも、この通りを歩けば必ず満足できる一品に出会えます。
最近ではホーチミン市にも大型ショッピングモールが増え、買い物環境は大きく変化しました。しかし、市場には市場ならではの魅力があります。店主との何気ない会話、人々の活気、そして街の歴史や文化を感じられる空気感は、モールではなかなか味わえません。
約100年の歴史を持つタンディン市場が、新しい壁画によってさらに魅力的な姿へと生まれ変わったことを、私はとても嬉しく思っています。ホーチミン市を訪れる機会があれば、ぜひタンディン市場にも足を運んでみてください。そして市場を見学した後は、ぜひグエンフウカウ通りでおいしいローカルフードを楽しんでください。きっとホーチミン市ならではの魅力を感じていただけると思います。
photo by Maruchan —————————— 今回は、ここまでです。 最後まで、お読みいただきましてありがとうございます。 今後とも、「ベ トナム株・経済情報」をよろしくお願いいたします。
|